先ごろ自動車メーカー5社による性能試験等での不正が明らかになりました。製造業のみならず、我々のような技術サービス業や建設業、研究機関等に至るまで、この事件を他人事にすることなく、肝に銘じなければならないでしょう。が、そうは言いながら、どんなに注意を払っても人間はミスを犯すものです。そんな人間が作る機械だって完璧ではありません。要は、ミスを犯す前提に立って、どれだけ検査体制を厳しくするか、もしくは、不良品が発生した場合にユーザーが納得できるアフターフォローを構築することができるか、ということになるでしょう。
で、先日、私(田中)の地元のお菓子屋さんでのこと。
そのお菓子屋さんは地元ではそこそこ有名で、それなりに名の売れた銘菓も作っています。お菓子などの食品は、見栄えを気にする消費者も多いので、質として何ら問題はなくても、形が悪かったり規格外だったりすると廃棄されることがあります。このお菓子屋さんでも、味や内容量に全く問題ないのに形だけ悪いものがたまに機械で生産されることがあるらしいのですが、「フードロスはもったいない」と、通常よりも値引きし、いわゆる「わけあり」商品として売っています。私がこの店を訪れたとき、たまたまこの「わけあり」が売っており、年配の女性が喜んで購入しておりました。
しかしながら、購入した後にその女性の言ったことが悪かった。
「この値引き品、次はいつごろ出ますか?」
「うちだって値引き品や不良品作りたくてやってるわけじゃありません」
店主にピシャリと言われた女性は、深々と頭を下げておりました。
これをカスタマーハラスメント事案と呼ぶかどうかはさておき、インターネットの普及などに伴って昔とは微妙に変化してきている消費者と生産者との関係に、感慨を深くしたのでした。
※写真は私(田中)がデュッセルドルフで食べたスイーツで、本文のお菓子とは関係ありません
