書評③

 私(田中)の中学・高校時代の後輩が書いた本を義理で買ったつもりだったのですが、読んでみると内容が素晴らしかったので、ここに紹介させていただきます。

 思えば、彼(後輩)は昔から優秀な男でした。いつも優柔不断な私の言動に、打てば響くかのごとく明快な回答をくれました。そんな頼りない私を今でも「先輩!」と慕ってくれる稀有な存在でもあります。高校卒業後、彼はアメリカの大学に進学し、帰国後は地元の企業に就職しました。しかしながら、私と同じでいろいろなことが彼の身に降りかかります。そんな紆余曲折を経て、ある日彼は地元の信用金庫に招かれます。現在、その信用金庫で企業支援室長として活躍し、地方の小さな信用金庫のスタッフであるにも関わらず、全国各地の金融機関に行き企業支援や企業再生を指南し、金融庁の企業支援関連のアドバイザーもしています。

 本書は、銀行や信用保証協会、その他支援機関で企業支援に従事する人向けに書かれたものですが、かつて支援を受ける側の企業で働いていた彼の経験がふんだんに盛り込まれ、企業経営者の方にも大変有用な内容となっています。しかも私のような金融・経済の門外漢でも理解しやすいよう具体的な例示も多く、大まかではありますが内容も業種ごとに細分化されており、自分の関連業種から読み進めることもできます。章間に挿入されているコラムは実体験に基づき臨場感に溢れています。

 若手金融機関職員だけではなく、中小企業の経営者にもぜひ読んでもらいたい、名著と言っても過言ではない一冊です。

※北門信用金庫企業支援室長 伊藤貢作 著『私の中の企業支援と再生』(一般社団法人金融財政事情研究会刊)

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